銀杏の種類と特徴|新銀杏との違い・旬の時期と仕入れのポイント

銀杏の種類と特徴|新銀杏との違い・旬の時期と仕入れのポイント

もちっとした食感とほろ苦さ、独特の香りを楽しめる銀杏は、秋の料理に欠かせない食材です。

しかし、旬の時期や殻のむき方、保存方法が分からず、買うのを迷う方もいるでしょう。

銀杏は、殻付き・むき身・冷凍など、使い方に合わせて選べます。また、秋の早い時期に出回る「新銀杏」は、通常の銀杏とは違った色や食感を楽しめます。

本記事では、銀杏の旬や種類、新銀杏の特徴、選び方、下処理、食べ方、保存方法を紹介します。家庭で購入する方はもちろん、飲食店やホテルで仕入れたい方にも分かりやすく解説します。

秋の料理を彩る食材「銀杏」とは?

銀杏は、イチョウの種子のうち、硬い殻と薄皮の内側にある部分を食べる食材です。

秋を代表する味覚のひとつで、茶碗蒸しや炊き込みご飯、焼き物、揚げ物などに使われています。

銀杏の魅力は、加熱したときのもちっとした食感と、独特の香り、ほろ苦い味わいにあります。少量でも料理に彩りを加えられるため、秋らしさを表現したいときに向いているでしょう。

ここからは、銀杏の特徴と魅力について詳しく解説します。

食材として食べる部分

銀杏は、イチョウの木になる黄色い部分をそのまま食べるわけではありません。イチョウは裸子植物のため、この黄色く柔らかい部分は果肉ではなく「外種皮(がいしゅひ)」と呼ばれます。

外種皮を取り除くと硬い殻(中種皮)があり、さらにその内側の薄皮(内種皮)に包まれた部分が、食用となる胚乳です。

店頭で販売されている殻付き銀杏は、外種皮を取り除き、洗浄・乾燥させた状態です。料理に使うときは、硬い殻を割り、さらに薄皮を取り除いてから加熱します。

殻を割る作業を省きたい場合は、あらかじめ殻を取り除いたむき身を選ぶとよいでしょう。

味・香り・食感の特徴

銀杏は、加熱するともちっとした食感になります。独特の香りとほろ苦さがあり、茶碗蒸しや炊き込みご飯のアクセントにぴったりです。焼いて塩を振るだけでも、銀杏らしい風味を楽しめますよ。

鮮度のよい銀杏は、加熱すると淡い緑色から鮮やかな緑色になります。これは緑色のもとであるクロロフィルが、加熱によって組織中の空気が抜けることで見えやすくなるためです。

ただし加熱しすぎると緑色の色素が変化して退色するため、色を見せたい料理では加熱時間に注意しましょう。また、収穫からの時間が経つにつれて黄色みが増し、香りも弱くなっていきます。

銀杏を選ぶときは、味だけでなく色や香りを重視するかどうかも考えるとよいでしょう。

参照:日本植物生理学会 みんなのひろば|銀杏の色について

銀杏の旬・主な産地・種類

銀杏の旬は、9月から11月頃です。この時期は生の銀杏が出回りやすく、銀杏らしい色や香り、食感を楽しめます。

秋の早い時期に出回るものは、淡い緑色が特徴です。銀杏の旬や産地、種類を知っておくと、料理に合わせて選びやすくなります。

ここからは、銀杏の旬と主な産地・種類について詳しく解説します。

銀杏が旬を迎える時期

銀杏は産地や品種によって収穫・出荷の時期が異なり、早い品種では8月下旬から、遅い品種では12月下旬まで出荷されます。

一般に出回りの中心は9月から11月頃で、旬の味わいを重視するなら9月から11月半ばごろが目安とされています。

秋の早い時期に出回る銀杏は、淡い緑色や強い香りを楽しみやすいのが特徴です。時間が経つにつれて黄色みが増していくため、色を生かしたい料理には、入荷時期や鮮度を確認して選ぶとよいでしょう。

新銀杏と一般的な銀杏の違い

新銀杏とは、その年に収穫された銀杏が、秋の早い時期に出回るものを指します。別の品種というわけではなく、収穫時期や出回る時期による呼び方です。なお「新銀杏」は業界や料理の場で使われる慣用的な呼称で、公的な規格や定義があるわけではありません。

通常の銀杏とは、色味や食感などが大きく異なります。それぞれの具体的な違いを以下の表にまとめました。

項目 新銀杏通常の銀杏
収穫時期夏〜初秋(7月〜9月頃)秋(10月〜11月頃)
透き通るような翡翠色黄色がかった黄金色
食感水分が多くもちもちほっくりとした食感
香り・苦味穏やかで控えめ独特の強い香りとほろ苦さ
向いている料理色味を生かす前菜、塩煎り茶碗蒸し、煮物、炒め物

新銀杏は、完熟前の早い時期に収穫されたものが中心とされます。ただし収穫方法は産地や品種によって異なり、ネットを敷いて落果を受けるところもあれば、自然に落ちたものを拾い集めるところもあります。

新銀杏は水分を多く含み、殻をむくと透き通るような翡翠色の実が現れます。加熱すると、たっぷりの水分からもちもちとした食感が生まれ、クセの少ない味わいが特徴です。収穫からの日数が経つにつれて水分が抜け、ほっくりとした食感へと変わっていきます。

新銀杏は、殻を割って薄皮をむいたあと、塩ゆでにして使う場合が多い食材。色がきれいに仕上がるため、茶碗蒸しや椀物、八寸など、銀杏の色を見せたい料理に向いています。

秋の早い時期に鮮やかな緑色やみずみずしい食感を楽しみたい場合は、新銀杏を選ぶとよいでしょう。

参照:一富士|新ぎんなんJAしみず|ギンナンJA愛知西|生産から出荷まで(祖父江ぎんなん)

主な品種と産地

銀杏は全国各地で栽培・収穫されていますが、なかでも愛知県は全国有数の産地として知られています。そのほか、大分県や佐賀県などでも生産されており、地域の特産品として親しまれています。

銀杏にはいくつかの品種があり、食用として特に人気が高いのが「藤九郎(とうくろう)」です。藤九郎は普通種より粒が大きく丸みを帯びており、殻が薄くて表面に光沢があるのが特徴。見栄えがよく食べ応えもあることから、料理用の銀杏として広く利用されています。貯蔵性にも優れた品種です。

そのほか、久寿(きゅうじゅ)、金兵衛(きんべえ)などの品種があります。

参照:岐阜県|藤九郎ギンナン愛知県|あいちの農産物(果物)大分県|大分県の特産品(ぎんなん)JAさが|果樹・銀杏

殻付き・むき身・生・冷凍の違い

殻付き・むき身・生・冷凍の違い
※画像はイメージです

銀杏は、使い方に合わせて状態を選ぶことが大切です。旬の味を楽しみたいなら殻付き、下処理を簡単にしたいならむき身、必要な分だけ使いたいなら下処理後の冷凍が向いています。

商品状態によって、購入後に必要な作業や向いている料理が変わるため、料理の内容と使う量を考えて選びましょう。ここからは、銀杏の商品状態ごとの特徴について詳しく解説します。

殻付き・生銀杏の特徴

銀杏そのものの味や旬を楽しみたいなら、殻付きの生銀杏が向いています。殻を割り、薄皮を取る手間はありますが、鮮度のよい銀杏ならではの色や食感を楽しめます。

焼いて塩を振るだけでも食べられるため、焼き銀杏にもおすすめです。

ただし、使う量が多い場合は、下処理に時間がかかります。家庭で少量使う場合は殻付きでも扱いやすいですが、飲食店やホテルで大量に使う場合は、仕込み時間も考えて選びましょう。

むき身・冷凍銀杏の特徴

すぐに料理へ使いたい場合は、むき身が便利です。殻を割る作業を省けるため、茶碗蒸しや炊き込みご飯などに使いやすくなります。

たくさん購入した場合は、殻と薄皮を取り、塩ゆでしてから冷凍する方法もあります。小分けしておけば、解凍せずに炒め物や茶碗蒸しなどに使えて便利です。

料理と仕込みに合う状態の選び方

どの銀杏を選ぶか迷ったときは、味わいを重視するのか、下処理の手間を減らしたいのか、保存しながら使いたいのかなど、用途に合わせて考えると選びやすくなります。

銀杏そのものの風味や食感を楽しみたい場合は、殻付きの生銀杏がおすすめです。特に新銀杏ならではの鮮やかな色やみずみずしい食感を楽しみたい場合は、旬の時期に出回る生銀杏を選ぶとよいでしょう。

殻を割ったり薄皮をむいたりする手間を省きたい場合は、むき身が便利です。また、一度に使い切らず何回かに分けて使いたい場合は、下処理をしたあとに冷凍しておくと使いやすくなります。

状態おすすめ用途
殻付き・生銀杏銀杏そのものの味わいを楽しみたい
むき身下処理を簡単にしたい
下処理後に冷凍何回かに分けて使いたい

新鮮な銀杏の選び方

銀杏を買うときは、殻の色やツヤ、実の詰まり具合を確認しましょう。ここからは、新鮮な銀杏を選ぶ際のポイントを紹介します。

殻と実の状態を確認する

殻付き銀杏は、殻の表面がよく乾いていて白いものが選ぶ目安です。手に取れる場合は、軽く振ってみましょう。中で音がするものよりも、実が詰まっていて音がしないものがよいとされています。

むき身の場合は、色も確認しましょう。収穫から時間があまり経っていないものほど淡い緑色で、時間が経つと黄色みが増します。

粒の大きさとそろい方を見る

銀杏は、品種によって粒の大きさに違いがあります。大粒のものは一粒でも存在感があり、焼き銀杏のように銀杏そのものを味わう料理や、八寸、茶碗蒸しなど、見た目も重視したい料理に向いています。

一方、炊き込みご飯や炒め物など、ほかの食材と一緒に使う料理では、必ずしも大粒の銀杏を選ぶ必要はありません。料理の用途や予算に合わせて選ぶとよいでしょう。

銀杏の下処理方法

銀杏の下処理方法

殻付き銀杏は、殻と薄皮を取り除いてから料理に使います。下処理にはいくつかの方法がありますが、家庭で少量を使う場合は、殻を割ってからゆでたり炒めたりする方法が分かりやすいでしょう。

殻と薄皮のむき方

まず、ペンチや銀杏用の殻割り器で、殻に割れ目を入れます。殻のつなぎ目を狙うと割りやすくなります。力を入れすぎると中の実までつぶれるため、少しずつ割りましょう。

殻を外したら、薄皮を取り除きます。薄皮は、水に浸してやわらかくしたり、熱湯の中で銀杏を転がしたりすると取りやすくなります。

ゆでる・炒るなどの加熱方法

薄皮を取った銀杏は、ゆでる、炒る、焼くなどの方法で加熱します。ゆでる場合は、沸騰した湯に銀杏を入れ、薄皮がはがれてきたら取り除きます。

新銀杏は、殻と薄皮をむいたあとに塩ゆですると、きれいな緑色に仕上がりますよ。炒る場合は、殻付きのままフライパンに入れ、塩を加えてふたをします。殻がはじけたら取り出し、殻と薄皮をむいてください。

焼き銀杏にする場合は、加熱後に塩を振ると、銀杏の風味をシンプルに楽しめます。

銀杏を生かした料理

銀杏を生かした料理|茶碗蒸し

銀杏は、少量加えるだけで秋らしさを出せる食材です。料理によって、銀杏の色、食感、香りのどれを生かすかを考えると、使い方を決めやすくなります。代表的な料理には、次のようなものがあります。

  • 茶碗蒸し
  • 炊き込みご飯
  • 焼き物
  • 揚げ物
  • 付け合わせ

初めて使う場合は、茶碗蒸しや炊き込みご飯がおすすめです。銀杏そのものを味わいたい場合は、焼き銀杏にするとよいでしょう。新銀杏は、塩ゆでにして椀物や八寸に添えると、鮮やかな色ともちっとした食感を生かせます。

飲食店では、一皿に使う粒数を先に決めておくと、必要量を計算しやすくなります。たとえば、茶碗蒸し100食に1粒ずつ使うなら100粒、2粒ずつなら200粒が目安です。

銀杏の保存方法

銀杏は、時間が経つほど色や香りが変化します。旬の色や風味を楽しみたい場合は、購入後できるだけ早く使いましょう。ここからは、銀杏の保存方法について詳しく解説します。

殻付き・生銀杏の保存

殻付きの銀杏は、紙袋や新聞紙などに包んで保存します。涼しい時期であれば冷暗所で常温保存でき、室温が高い場合は冷蔵庫の野菜室に入れましょう。

野菜室で保存した場合、数ヶ月はもつとされています。ただし保存期間が長くなるほど風味は落ちるため、なるべく早めに使うのがおすすめです。

むき身・冷凍銀杏の保存

下処理をした銀杏は、殻付きのものより傷みやすいため、冷蔵庫で保存し、早めに食べ切りましょう。

長期間保存したい場合は、冷凍が向いています。殻付きのままポリ袋に入れて冷凍する場合、3カ月程度が目安とされています。むき身は塩ゆでしたものを小分けにしてラップで包み、保存容器に入れて冷凍しましょう。

冷凍した銀杏は、解凍せずにそのままゆでたり炒めたりして料理に使えます。

銀杏を食べる際の注意点

銀杏は、一度にたくさん食べないようにしましょう。

銀杏には4′-O-メチルピリドキシン(ギンコトキシン)という成分が含まれています。この成分はビタミンB6と構造が似ており、ビタミンB6の働きを妨げることで、抑制性の神経伝達物質であるGABAが十分につくられなくなり、中枢神経が異常に興奮すると考えられています。

大量に食べると、嘔吐やめまい、けいれんなどの中毒症状を起こすことがあります。

注意したいのは、この成分が熱に安定であることです。ゆでる・焼く・炒るなどの加熱調理をしても毒性はなくならないため、調理法では防げません。

また、中毒の相談事例は小さな子どもが大半を占めており、公的機関は小さな子どもには銀杏を食べさせないよう呼びかけています。

飲食店やホテルで提供する場合も、銀杏だけを大量に盛るのではなく、茶碗蒸しや八寸、炊き込みご飯など、料理の一部として適量を使いましょう。とくにお子さま向けのメニューでの使用は避け、必要に応じてメニューや口頭で注意を伝えることも検討したいところです。

なお、外種皮が付いた状態で銀杏を扱う場合は、ギンコール酸などの成分により皮膚炎を起こすことがあります。手袋を着用して作業してください。

参照:日本中毒情報センター|ギンナンの食べ過ぎに注意しましょう!内閣府 食品安全委員会|旬のギンナンも食べ過ぎに注意!岐阜医療科学大学 薬学部|身近な植物中毒 ギンナン中毒

業務用で銀杏を仕入れる際のポイント、

銀杏は、用途・必要数量・仕込みの手間を基準に選ぶとスムーズです。

焼き銀杏や八寸など、見た目を重視する料理には、大粒で粒ぞろいのものが向いています。茶碗蒸しや炊き込みご飯など料理の中に使う場合は、粒の大きさよりも価格や下処理のしやすさを優先してもよいでしょう。

新銀杏を使う場合は、使用時期と入荷時期の確認が重要です。鮮やかな緑色を生かしたい場合は、早めに仕入れ先へ相談しましょう。

水戸青果では、飲食店・ホテル向けの業務用銀杏について、用途や数量に合わせてご相談いただけます。

ご相談の際は、次の内容をお知らせいただくとスムーズです。

  • 殻付き・むき身など希望する状態
  • 新銀杏など希望する時期や種類
  • 希望する粒の大きさ
  • 必要数量
  • 使用する料理
  • 使用開始時期

「秋のメニューに銀杏を使いたいけれど、どの商品を選べばよいか分からない」という場合も、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

銀杏は、もちっとした食感とほろ苦さが魅力の秋の食材。旬は主に9~11月で、早い時期に出回る新銀杏は、鮮やかな緑色とみずみずしい食感が特徴です。

仕入れでは、用途に合わせて殻付き・むき身・冷凍を選びましょう。飲食店やホテルでは、料理の種類、一皿あたりの使用数、粒の大きさ、必要数量、使用開始時期を整理しておくと選びやすくなります。

新銀杏を使う場合は、旬と入荷状況を早めに確認することが大切です。

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