
菊といえば観賞用のイメージが強いですが、実は食用に品種改良された「食用菊」もあります。シャキシャキとした独特の食感と、ほのかな甘み・苦味が魅力で、和食店ではお刺身のつまやおひたしなどによく使われています。
一方で「どこで買えるのか」「どの品種を選べばよいのか」「旬の時期はいつなのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、野菜・山菜の卸である水戸青果が、食用菊の産地や旬の時期、仕入れ方法、美味しく食べる方法まで詳しく解説します。
▼水戸青果で取り扱う「食用菊」の入荷時期については、下記のお問い合わせフォームまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
目次
食用菊とは?

食用菊はキク科キク属の植物で、秋を代表する季節食材のひとつです。
観賞用の菊とは異なり、花びらを食べるために栽培されており、シャキシャキとした食感と、ほのかな甘み・苦味、さわやかな香りが特徴です。
お刺身のつまや酢の物、おひたしなど、和食を中心に幅広く使われていますが、観賞用菊との違いや品種ごとの特徴は意外と知られていません。
ここでは、観賞用菊との違い、食用として利用される大菊と小菊の特徴について解説します。
食用菊と観賞用菊の違い
食用菊と観賞用菊は、もともと同じキク科キク属の植物です。菊は奈良時代に中国から伝わったとされており、古くから生薬として用いられてきました。花びらを食べる習慣は、江戸時代から始まったといわれています。
食用菊は観賞用菊をもとに食べやすいよう品種改良されており、苦味が少なく花びらが大きいことが特徴です。菊といえば黄色をイメージしますが、紫色の品種もあります。
刺身に添えられる小菊について
食用菊は大きく分けて、おひたしや天ぷらで食べられている大菊と刺身によく添えられる小菊の2つにわかれます。
小菊は飾りと思われがちですが、花びらをちぎって醤油に浮かべたり、薬味のように刺身と合わせたりして味わえます。
古くから解毒作用や抗菌作用を期待して添えられていたともいわれており、刺身に添える食材として理にかなった使われ方をしてきました。
参照:まごころケア色|食用菊の栄養と効能 おすすめレシピもご紹介
食用菊の旬と主な産地

食用菊は年間を通して流通していますが、最も多く出回るのは秋です。
特に9〜11月頃は収穫の最盛期を迎える品種が多く、市場への出荷量も増加します。ここからは、食用菊の旬や主な産地、出回り量が増える時期について見ていきましょう。
食用菊の旬
食用菊は品種によって旬の時期が異なりますが、一般的には9〜12月頃の秋から冬にかけて多く出回ります。
食用菊には、花びらをほぐしておひたしや酢の物などに使う中輪・大輪のものと、刺身のつまや料理の彩りとして添えられる小菊があります。小菊は温室栽培されているものも多く、通年で流通していますが、本来の旬は秋です。
旬を迎えた食用菊は、花びらの色が鮮やかで、香りもより豊かになります。シャキッとした食感やほのかな苦味、上品な甘みを楽しめます。
主な産地
小菊を除く食用菊の主な産地は、山形県と新潟県が中心です。次いで、秋田県、青森県、長野県、宮城県など、東北・甲信越地方でも多く栽培されています。
食用菊は地域によって呼び名や品種が異なります。
例えば、山形県では「延命楽」という品種が「もってのほか」の名で親しまれ、新潟県では紫色の食用菊が「かきのもと」として知られています。
青森県南部地方では、黄色い食用菊の品種「阿房宮」が古くから栽培されてきました。いずれも地域に根付いた食材として、酢の物やおひたしなどで日常的に食べられています。
これらの大輪種は花びらを摘み、おひたしや酢の物、和え物などにして食べるのが一般的です。一方、小菊は愛知県が主な産地で、温室栽培によって通年で流通しています。
出回り量が増える時期
食用菊の出回り量が多くなる時期は、種類や産地によって異なります。
- 青森県「阿房宮」:10月下旬〜11月上旬
- 山形県「もってのほか」:10月下旬〜11月上旬
- 新潟県「かきのもと」:10月中旬〜11月中旬
つま用の小菊は温室栽培が盛んなため、一年を通して比較的安定して出回ります。
また「阿房宮」や「もってのほか」は品種改良により早生種なども作られているため、食用菊全体としては9月上旬から12月初旬ごろまで出回ります。
食用菊の下処理方法
食用菊は基本的に萼(がく)がついた状態でパック詰めされて販売されています。萼の部分は苦味が強いため、お刺身の飾りや天ぷらとして楽しむ場合以外は取り除きましょう。
ここでは、食用菊をより美味しく味わうための下処理方法を解説します。
花びらの外し方
食用菊は花の奥に虫がいる場合もあるため、花びらを外す前に洗いましょう。
まずボウルにたっぷりの水を張り、上からやさしく押さえながらすすぎ洗いします。洗い終わったらザルに上げ、軽く水気を切ります。
花びらを外すときは芯の部分を持ち、中心部の短い部分を残しながら、花びらを指でつまんで取り外します。
食用菊のゆで方
たっぷりのお湯を沸かし、酢を加えます。分量は、お湯1Lに対して酢大さじ2が目安です。沸騰したお湯に花びらを入れ、30秒ほどサッとゆでます。
花びらが浮いてくるため、菜箸などで沈めながらゆでましょう。ゆで上がったら冷水に取り、水気を絞ります。
食用菊を色よく仕上げるポイント
色よく仕上げるポイントは、酢を加えることと、ゆですぎないことです。
酢を加えずにゆでると茶色く変色してしまうため注意しましょう。また、ゆですぎると色が抜けてくすみやすくなります。
ゆで時間は短めにし、しんなりしたらザルに上げすぐに冷水にさらして色止めすることが大切です。
食用菊はどこで買える?
- スーパー・百貨店
- 道の駅・直売所
- 専門店・青果店
食用菊は、スーパーや大手百貨店の青果コーナーで販売されている場合があります。生産地に近い地域では、道の駅や直売所で購入できることもあります。
一方で、飲食店や小売店などで業務用に仕入れたい場合は、卸売専門の青果店に相談するのがおすすめです。
水戸青果では、業務用青果の仕入れ相談を承っております。食用菊の仕入れをお考えの方は、ぜひ水戸青果までお問い合わせください。
食用菊のおいしい食べ方と盛り付け例|アレンジレシピ4選
ここからは、食用菊を使ったアレンジレシピをご紹介します。食用菊は、おひたしや甘酢漬けの定番料理から、和え物の彩り、天ぷらの主役まで幅広く活用できる万能食材です。ぜひ参考にして、食用菊ならではの風味や彩りを楽しんでみてください。
菊のおひたし

材料(2人前)
- 食用菊:1/2パック(50g)
- 小松菜:1/2束(100g)
- かつおぶし:適量
- (A)しょうゆ:小さじ1
- (A)水:大さじ1
- (A)顆粒和風だし:小さじ1
- 酢:大さじ2
- 塩:少々
作り方
- 食用菊は花びらを取り外し、小松菜は根元を切り落とします。
- 沸騰したお湯に酢を加え、食用菊をサッとゆでて冷水に取り、水気を絞ります。
- 沸騰したお湯に塩を入れ、小松菜を1分ほどしんなりするまでゆでます。
- ゆで上がったら冷水に取り、水気を絞ったら4cm幅に切ります。
- ボウルに(A)を入れて混ぜ、食用菊と小松菜を加えて和えます。
- 器に盛り付け、仕上げにかつおぶしをのせたら完成です。
盛り付ける際は、食用菊の鮮やかな色合いを引き立てるため、ふんわりと小高く盛り付けましょう。白い器を使うと鮮やかな黄色が映え、より美しく仕上がります。
菊の甘酢漬け

材料(2人前)
- 食用菊:1パック(100g)
- (A)酢:150ml
- (A)砂糖:大さじ4
- (A)塩:小さじ1
- 酢:大さじ2
作り方
- 食用菊は花びらを取り外します。
- 沸騰したお湯に酢を加え、食用菊をサッとゆでて冷水に取り、水気を絞ります。
- ボウルに(A)を入れて混ぜ、食用菊を加えて和えたら完成です。
紫色の食用菊を使うと甘酢がほんのり色づき、見た目がより華やかになります。透明なガラスの小鉢に盛り付けると甘酢のつやが引き立ち、さっぱりとした印象に仕上がります。
菊の和えもの

材料(4人前)
- 食用菊:1パック
- だいこん:200g
- (A)酢:大さじ1
- (A)砂糖:大さじ1/2
- (A)塩:小さじ1/4
- 酢(ゆで用):大さじ2
作り方
- 食用菊は花びらを取り外し、大根はすりおろして水気を絞ります。
- 沸騰したお湯(分量外)に酢を加え、食用菊をサッとゆでて冷水に取り、水気を絞ります。
- ボウルに(A)を入れて混ぜ、(1)を入れて和えたら完成です。
大根おろしは水気をしっかり切り、器の中央にふんわりと盛ります。その上に菊を花が咲いたように彩りよくのせると、見た目がきれいになります。
菊の天ぷら

材料(2人前)
- 食用菊:1/2パック
- 小麦粉:適量
- マヨネーズ:大さじ1
- 水:75ml
- 小麦粉:50g
- 塩:適量
作り方
- 食用菊は萼付きのまま、水を張ったボウルに入れて優しく押し洗いし、水気をきってキッチンペーパーで拭きます。
- (1)に小麦粉をまぶし、余分な粉をはたいておきます。
- ボウルにマヨネーズと水を混ぜ、ふるった小麦粉を加えて衣を作ります。
- 食用菊に(3)の衣をつけたら、170℃に熱した油で揚げます。揚げる際は、萼を下にしてから揚げ始め、ひっくり返したら花びら側をサッと揚げてから、再度萼を下にしてカリカリに仕上げます。
- 皿に盛り付け、お好みで塩をまぶしたら完成です。
盛り付ける際は、花の形が見えるように立てるときれいに仕上がります。黒や白の皿を使えば、菊の色が映えるのでおすすめです。
食用菊の保存方法と注意点
食用菊は鮮度が落ちやすいため、なるべく早く食べ切りましょう。購入する際は、花びらの色が鮮やかで傷みや変色のないものを選びます。
ここからは、食用菊の保存方法と注意点について詳しく解説します。
冷蔵保存のポイント
食用菊は生花のため、乾燥しないように保存することが大切です。ポリ袋や保存袋に入れて密閉したうえで冷蔵保存しましょう。
ただし、冷蔵しても日持ちはあまりせず、保存期間は1〜2日程度が目安です。風味や色合いを楽しむためにも、できるだけ早めに使い切るようにしましょう。
参照:フーズリンク|旬の食材百科|食用菊の選び方と保存方法や食べ方、ニチレイ|【食用菊の食べ方】甘酢漬けや天ぷらなど人気レシピから、保存方法まで
冷凍保存のポイント
食用菊を使い切れない場合は、下ゆでしてから冷凍保存するのがおすすめです。
- 酢を少し加えたお湯でサッとゆでます。
- 水気をしっかり絞ります。
- 1回分ずつ小分けにします。
- 薄く平らになるようラップで包みます。
- ジッパー付きの冷凍保存袋に入れて密閉します。
- 冷凍庫で保存します。
冷凍保存の目安は約1か月です。解凍する際は、以下のいずれかの方法で行いましょう。
- 冷蔵庫で約2時間解凍
- 600Wの電子レンジで約20秒加熱
参照:ニチレイ|【食用菊の食べ方】甘酢漬けや天ぷらなど人気レシピから、保存方法まで
長期保存が可能な干し菊
食用菊を一年中楽しみたいなら、「干し菊」がおすすめです。干し菊は、食用菊の花びらを蒸して乾燥させた保存食で、シート状になっているため扱いやすく、常温で長期間保存できます。
調理する際は熱湯で2〜3分ゆでて戻し、水にさらしてから水気を絞ります。酢の物や汁物、和え物などに加えれば、菊ならではの彩りと風味を手軽に楽しめます。
参照:株式会社 まつの|南部町の食文化を彩る伝統野菜「阿房宮」の干し菊
北海道から新鮮で希少な野菜・果物をお届け!「水戸青果」

北海道札幌市の「水戸青果」は、1980年の創業以来、鮮度と品質にこだわった選りすぐりの青果をお届けしてきました。
珍しい野菜や希少な品種も扱い、生産者の想いと食材の魅力を丁寧に繋ぐことを使命としています。
今後も料理人の皆様と共に歩むパートナーとして、新しい価値を創り出す「北海道No.1の青果店」を目指し続けます。
「こんな野菜はないか?」「新しい仕入れ先を検討している」「珍しい食材について話を聞いてみたい」など、どんな些細なことでも構いません。
ぜひ一度、水戸青果までご相談ください。
まとめ
食用菊は、観賞用とは異なり食べやすいように品種改良された食材です。旬は主に9〜12月で、山形県や新潟県を中心に生産されています。
大輪種はおひたしや酢の物などの料理用、小菊は刺身のつまやあしらい用として利用されています。仕入れの際は、用途に合った品種選びや旬の時期、保存方法を理解しておくことが重要です。
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、用途に合った食用菊を選び、季節感や彩りを生かした料理づくりにお役立てください。

