
玉ねぎと言えば、主役を引き立てる名脇役。
ですが、「これ自体がごちそう」と称される特別な玉ねぎがあるのをご存知でしょうか。それが、北海道の伝統野菜「札幌黄(さっぽろき)」です。
札幌黄は、その飛び抜けた甘さと旨味から「幻の玉ねぎ」と呼ばれ、一部の食通や高級レストランでのみ扱われてきました。しかし、「なぜ幻なの?」「普通の玉ねぎと何が違うの?」という疑問を持つ方も多いはずです。
この記事では、北海道札幌の青果店「水戸青果」が、札幌黄が「幻」と呼ばれる3つの理由を徹底解説します。さらに、その魅力を最大限に引き出す最高の食べ方もご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
札幌黄とは?「幻の玉ねぎ」と呼ばれる3つの理由と特徴

出典:JAさっぽろ
札幌黄が「幻の玉ねぎ」という特別な名前で呼ばれているのは以下の3つの理由に由来しています。
札幌黄の歴史:日本の玉ねぎの始祖でもある栽培のルーツ
札幌黄は、日本の玉ねぎ栽培の歴史そのものと言える品種です。
明治初期、札幌農学校のウィリアム・P・ブルックス教授が持ち込んだ「イエロー・グローブ・ダンバース」という種子にルーツを持ち、その血統が今日まで連綿と受け継がれています。
明治13年には札幌近郊で本格的な栽培が始まり、「わが国の玉葱栽培この地にはじまる」と刻まれた記念碑が現存しています。
その後、明治38年に優良品種として「札幌黄」の名が公式に記載され、一時は北海道で作られる玉ねぎのほとんどを占め、ロシアやフィリピンへ輸出されるほど、日本の玉ねぎの歴史を牽引しました。
現代の希少性:病気に弱く生産者が限られる「栽培の難しさ」
かつて日本の玉ねぎを支えた札幌黄ですが、現在では作付けが激減し「幻のたまねぎ」と呼ばれるようになりました。
その最大の理由は、栽培の難しさにあります。札幌黄は、大きさが不揃いになりやすく、病気に非常に弱いという欠点を持っています。
昭和50年代以降、病気に強く貯蔵性に優れるF1品種が主流になった結果、手間がかかる札幌黄はほとんど作られなくなりました。
しかし、行政や団体がこの伝統品種の価値を見直す動きを見せており、その希少性がブランド価値を高めています。
驚異的な甘さの秘密:一般的な玉ねぎとの違い
札幌黄が持つ最大の魅力は、一般的な玉ねぎでは得られない驚異的な甘さと柔らかさです。
糖度は、北海道産のF1品種が9〜10度程度であるのに対し、札幌黄は13度という高い糖度を誇ります。
出典:札幌黄タマネギ | 日本スローフード協会
この高い糖度が、加熱したときの深い旨味とまろやかさの秘密です。
札幌黄色の生産場所と旬の時期

出典:ハウス食品グループ
札幌黄はどこで生産・栽培されている?
札幌黄は、その名の通り北海道の札幌市周辺で集中的に栽培されてきた伝統的な品種で、明治時代、札幌村(現在の札幌市東区丘珠)で初めて栽培が始まったとされています。
現在も、札幌市内や近隣市町村の限られた農家が、長年の知恵と技術を活かして、この病気に弱い品種を大切に育て続けています。
札幌黄の旬はいつ?最も美味しく食べられる時期
札幌黄の旬は、主に9月から11月頃です。
これは、畑で収穫されたばかりの新玉ねぎとして市場に出回る時期であり、札幌黄は、普通の玉ねぎと比べると、新玉でも辛みの強い特徴をもつ品種になります。
札幌黄はどこで買える?確実に手に入れるには
生産量が非常に少なく、貯蔵性も低いため、札幌黄が全国のスーパーの店頭に並ぶことはほとんどありません。確実に手に入れるには、以下の方法を検討する必要があります。
- 札幌市内の直売所・道の駅
生産地に近い場所であれば、旬の時期に入手できる可能性が高いです。
- 専門店・青果店
品質にこだわる高級スーパーや、当社のような特定の希少品種を取り扱う専門の青果店が仕入れている場合があります。
- オンライン通販
生産者や、産地と直接連携している青果店(ECサイト)を通じて購入するのが、最も確実で新鮮なものを手に入れやすい方法です。
また、当社 水戸青果でお取り扱いの「札幌黄」の入荷時期についてはお問い合わせフォームよりご連絡ください。
札幌黄を最大限に楽しむ!絶対試すべき絶品玉ねぎレシピ3選
札幌黄の最大の魅力である「甘さ」と「食感」を最大限に活かす、簡単で美味しいレシピをご紹介します。
札幌黄の甘さが際立つシンプルレシピ「丸ごとホイル焼き」

※写真はイメージです
玉ねぎは、オーブンでじっくりと火を通すことで、驚くほど甘みが増します。バターとの相性も抜群で、シンプルな調理法ながらも深い味わいが楽しめます。
材料(2人前)
- 玉ねぎ(2個)
- 有塩バター(20g)
- 塩(小さじ1/2)
- こしょう(少量)
作り方
- 玉ねぎは半分くらいの高さまで6等分に切り込みを入れる。
- アルミホイルを2枚用意して玉ねぎをのせる。
- バターを半分ずつ切り込みに差し込んで塩とこしょうをふってアルミホイルで1個ずつ包む。
- 180℃に予熱したオーブンで玉ねぎがやわらかくなるまで40分ほど焼いたら完成。
玉ねぎの旨味が凝縮!「ポタージュ」で味わう深いコク

※写真はイメージです
玉ねぎをしっかりと炒め、その極上の甘味と旨味を最大限に引き出した「玉ねぎのポタージュ」をご紹介します。驚くほどクリーミーで濃厚な味わいは、パンとの相性も抜群です。
材料(4人前)
- 玉ねぎ(2個)
- じゃがいも(1個)
- 水(200cc)
- 有塩バター(30g)
- 塩(小さじ1/3)
- 牛乳(200cc)
- 生クリーム(50cc)
作り方
- 玉ねぎとじゃがいもを2等分に切って薄切りにして、水に10分程度さらし水気を切る。
- 鍋にバターを入れて熱し、溶けてきたら玉ねぎを入れてしんなりするまで弱火で炒める。
- じゃがいもを加えてバターが馴染むまで炒める。
- 水を加えてふたをし、弱火で20分煮る。
- 火を止めてブレンダーでなめらかになるまで撹拌する。
- 塩・牛乳・生クリームを加えて混ぜながらあたためたら完成。
北海道から新鮮で希少な野菜・果物をお届け!「水戸青果」

北海道札幌市の「水戸青果」は、1980年の創業以来、鮮度と品質にこだわった選りすぐりの青果をお届けしてきました。
珍しい野菜や希少な品種も扱い、生産者の想いと食材の魅力を丁寧に繋ぐことを使命としています。
今後も料理人の皆様と共に歩むパートナーとして、新しい価値を創り出す「北海道No.1の青果店」を目指し続けます。
「こんな野菜はないか?」「新しい仕入れ先を検討している」「珍しい食材について話を聞いてみたい」など、どんな些細なことでも構いません。
ぜひ一度、水戸青果までご相談ください。
まとめ
札幌黄は、日本の玉ねぎの歴史を背負いながら、その栽培の難しさと、高い糖度を誇るその甘さゆえに「幻の玉ねぎ」と呼ばれる特別な存在です。
ぜひ、旬の短い秋から初冬にかけて、この特別な玉ねぎを食卓に取り入れてみてくださいね。
水戸青果は、この貴重な札幌黄を始め、北海道の豊かな恵みを皆様にお届けします。